飲食店などの店舗運営

「潰れない」飲食店をどうつくるか。「失敗しない」オーナーがしていることとは

さまざまな職の中でも飲食店経営は、最も独立開業しやすいビジネスの1つといえるでしょう。なぜならほとんどすべての日本人は、外食するからです。
つまり、飲食店はうまくやれば必ず長続きできるビジネスなのです。

また、さまざまな職の中でも飲食店経営は、最も魅力があるビジネスの1つといえるでしょう。なぜなら客から「おいしい」「落ち着く雰囲気」「楽しかった」という評価をダイレクトにもらえるからです。
つまり飲食の提供は、究極のサービス業といえるのです。

しかし飲食店経営ほど難しいビジネスもありません。開業から2カ月もたずに潰れる店もあります。
行列ができるほどの繁盛店が、わずか半年で客を失うことも珍しくありません。
飲食にははやりすたりがつきものだからです。

飲食店での独立開業を目指す人は、とりあえずは「潰れない店」をつくりませんか。潰れず3年が経過したら繁盛店を目指せばいいのです。

しかも、有名店のオーナーの哲学は独特すぎて真似しづらいのですが、大成功しているわけではないけど「失敗しない」飲食店を経営しているオーナーは、意外なほど当たり前のことをしています。それなら誰でも真似できます。

そこで「潰れない飲食店」をつくっている「失敗しない」オーナーから、店づくりを学んでみましょう。

1つでいいので差別化できるメニューを。あとはオーソドックスでOK

居酒屋でも喫茶店でも洋食屋でも、潰れない店には必ず「他店にない味」があります。
例えば次のようなメニューが考えられます。
・北海道産の子羊の肉
・新鮮な山菜やキノコ
・極上食パンでつくる卵サンド
・赤字必至の格安超豪華ランチ

このような、他店と圧倒的に差別化できる料理は1品でかまいません。飲食店を開業した当初から勝負メニューを2品も3品もつくろうとすると、投資が分散してしまい際立った逸品をつくることができません。

その代わり、究極の1品をつくりあげたら、そのほかのオーソドックスなメニューを磨いていってください。
究極の1品がオーソドックスメニュー目当ての客を引き寄せまるからです。

さらに、初めての来店した客がオーソドックスメニューを食べたら、会計のときにさりげなく究極の1品を紹介すれば、リピーターになってもらえるかもしれません。そのためにはオーソドックスメニューづくりに力を入れる必要があるのです。

原価率を下げると確実に客は離れる

飲食店の客の中には、原価率をとても気にする人がいます。例えばフォアグラをのせたハンバーグを2,000円で提供している洋食屋の客で、フォアグラの量をチェックしたりする人です。
そして原価率を気にする客は、次に訪れたときに店が原価率を下げていたら、大きく失望します。フォアグラの量が少し減っただけで、「こういうせこい店にはもうこない」と決めてしまうでしょう。

多くの飲食店オーナーは、開店時に高い原価率で客を集め、次第に原価率を下げて利益を上げようとします。
店が一度軌道にのると、原価率を多少下げても客が集まるからです。また、オーナーの人柄で客が集まっているような飲食店なら、なおさら原価率を下げる誘惑に駆られるでしょう。

しかし原価率を下げることは、崩壊の端緒になりかねません。
原価率を下げてコストダウンに成功すると、次はおしぼりを布製から使い捨てのものに変えたくなるでしょう。トイレットペーパーの質を落とすことも検討したくなります。
小さなケチケチ作戦を積み重ねると、店のグレードは確実に落ち、客の離反を招きます。

お酒は「儲かる」が慎重に。酔客は面倒

飲食店にとってお酒は、とても儲かる商材です。経営を安定させるためにも、お酒の提供は前向きに検討しましょう。
お酒は利益率が高いですし、凝ったカクテル以外は、つくるのに手間が要りません。しかもお酒は1人の客がたくさん飲むことができます。料理やソフトドリンクでは、1人の客の消費量は限度がありますが、お酒はたくさん飲んでもらえます。
そしてお酒が入ると料理を多く注文してくれます。

しかし、酔客の扱いが苦手な飲食店オーナーの場合、安易にお酒の提供に手を出さないほうがいいでしょう。
酔っぱらった客は本当に面倒です。店の雰囲気を台無しにされることもあります。

仕入れ業者を大切にする

飲食店の客の入りが順調になったら、オーナーが自分でスーパーマーケットに行って仕入れをするのではなく、食材卸に配達してもらったほうがいいでしょう。そうすれば仕込みに時間を割けます。また節約できた時間を自分の休みにあてれば、夜の営業を延長することができます。飲食店は一般的に夜のほうが儲かります。

仕入れ業者を使うようになったら、業者を大切にしてください。酒屋、青果店、精肉店、コーヒー豆店など、さまざまな業者が食材を運んでくると思いますが、全員に親切に対応してください。

無意味な値切り交渉もしないほうがいいでしょう。例えば、飲食店の経営が苦しくなって、仕入れ業者に一時的に値下げ協力を要請するのは問題ありません。
しかしその場合でも、客足が戻ったら必ずオーナーのほうから仕入れ業者に「元の価格で購入します」と伝えてください。
決して「値下げした価格でも利益が出ているんでしょ、このままの価格で卸してよ」と言ったりしないでください。

仕入れ業者を大切にすると、1級品の食材を優先的に卸してくれるようになります。また仕入れ業者は新しい食材の情報も教えてくれます。
仕入れ業者は近隣の飲食店にも入っているので、懇意になると他店の情勢も教えてくれるようになります。

そしていざというときに助けてくれます。例えば野菜が高騰したとします。このとき仕入れ業者は、値引きばかり要請してくる飲食店には、仕返しとばかありに高く売るでしょう。しかしよい付き合いをしている飲食店にはそれほど値上げをせず卸してくれます。
飲食店オーナーにとって仕入れ業者は貴重なビジネスパートナーです。

客が途絶えてもあわてず、客が押し寄せても慢心せず

飲食店の客の入りには波があります。どれだけうまく経営していても、どれだけ常連客から愛されても、不思議なくらい客足が止まる時期があります。

その逆に、どれだけまずい経営をしていても、どれだけ横柄な接客をしていても、不思議なくらい客が入ることがあります。

ですので、飲食店のオーナーは、客が途絶えてもあわてず、客が押し寄せても慢心してはいけません。

客が来ないからといって店のテイストを変えてしまうと、少しだけ他店に浮気をしていた常連客が戻ってきたときに失望させてしまいます。
また、客が押し寄せているからといってメニューの刷新を検討していかないと、すぐに客に飽きられてしまいます。
飲食店は水商売で、まさに水ものなのです。

衛生管理は万全か

衛生管理は厳重に行ってください。ゴキブリ、ハエ、アリは絶対に発生させないようにしてください。ネズミは言語道断です。
少しでも鮮度が落ちた食材は、「食べられる状態」であっても、まかないに使うようにしましょう。「もう1日ぐらい使えるだろう」が店の評判を落とします。
スタッフ全員の検便や調理器具の消毒など、基本動作もしっかり守ってください。
おいしくない料理でも料理ですが、味がよくても安全でない料理は凶器です。

「空間を楽しんでもらいたい」は危険

飲食店での独立開業を目指す人のなかには、料理の腕もお酒の知識もコーヒー豆の選別能力もない人がいます。そのような人は「空間を楽しんでもらう店づくり」や「オーナー(自分)とのトークを楽しんでもらう店」をコンセプトにしがちですが、注意が必要でしょう。

飲食店という以上、最低でも飲み物か食べ物のどちらかが一定水準に達していないと、客に見透かされてしまうでしょう。

確かに飲食店には、空間を魅せる空間ビジネスの面もありますが、お金をかけて店内の内装に凝れば客が癒されると考えるのは安易すぎるでしょう。
空間ビジネスであれば、漫画喫茶やホテルのロビーのほうが優れています。

もちろん、メイド喫茶やジャズ喫茶、マジックバーといった「一芸」がある飲食店であれば、飲食のクオリティはそれほど問われませんが、特別なコンセプトがない場合は、やはり最低水準の食べ物と飲み物を提供しましょう。

まとめ~飲食店は当たると儲かるし楽しい

飲食店での独立開業を目指している人は、明けても暮れても将来の自分の店を想像しているのではないでしょうか。その想像は必ず実現できます。
飲食店の開業ノウハウは本でもセミナーでも獲得することができますが、「世の中にすでにある店」を開いてもつまらないでしょう。個性を発揮した店づくりを期待します。

飲食店は繁盛店になると大きな利益を得ることができます。2号店3号店と開くことができれば、1店あたりの利益額は同じなので、総利益は2倍3倍になります。
飲食店は客においしさと癒しを提供するビジネスですので、繁盛すればするほど仕事が楽しくなります。

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