プログラマーなどの専門職

プログラマーやSEなどのIT職の業務内容と独立開業の可能性

「IT土方」という言葉があります。土方とは、最もきつい肉体労働をしている土木作業員の方の総称です。コンピュータ・IT関連の専門職は一見スマートにみえますが、その実情は土木作業員並みに過酷な労働を強いられているのです。

これからプログラマーやSEを目指そうとしている人には、夢も希望もない話に聞こえるかもしれませんが、IT職にはそういった一面があります。
そしてすでにIT職として活躍している方は、「自分こそIT土方だ」と感じているのではないでしょうか。

IT職という輝かしいスキルを持ちながら、長時間労働を課せられ、疲弊させられるのはなぜでしょうか。
それは会社員だからです。
IT職も独立開業すれば、新たな道が開けるはずです。

会社員IT職が苦しめられるのは「ITゼネコン」のせい

IT職で過酷な労働環境に置かれているのは、ほとんどが会社員です。
独立開業したIT職でも長時間労働している人はいますが、それほど苦しい様子をみせていません。独立開業IT職は自由意志によって忙しくしているので、あまり労働にストレスを感じないのです。独立開業すると「いつでも労働時間を短くすることができる」という気持ちが芽生えるので、心に余裕が生まれるのです。

しかし会社員IT職はそうはいきません。上司から「このクライアントのシステムが立ち上がるまで出社しなくていいから」と言われたら、早朝から深夜まで、クライアント企業の作業室に缶詰めになってプログラムを書き続けなければなりません。

なぜ会社員IT職が苦しめられるかというと、コンピュータ・IT業界は「ITゼネコン」と呼ばれるピラミッド構造にあるからです。

建設・土木と同じ構造

ゼネコンは、元は土木・建設業界の言葉です。
土木・建設業界では、国内に数社しかない大手ゼネコンが、大口公共事業や民間企業の大プロジェクトを総取りします。その後大手は仕事を切り分けて複数の中堅ゼネコンに丸投げします。中堅ゼネコンはさらに業務を細分化して、中小零細企業に仕事を発注します。

実際に工事現場に出向くのは、ほとんどが中小零細企業の作業員たちですが、中小零細企業は採算ぎりぎりの状態で仕事を引き受けています。それは、中小零細企業のところに仕事が届く前に大手・中堅ゼネコンが大半の利益を吸い上げてしまうからです。

同じことがIT業界でも起きているので、「ITゼネコン」と呼ばれているのです。

仕事を細切れにして下流に流す

IT関連で大きな仕事といえば、行政機関や金融機関のシステム構築です。行政機関のシステムの場合、全国展開することがあるので事業規模が大きくなります。銀行や証券会社のシステムは巨大マネーを瞬時にかつ正確に移動させなければならないで、システム構築の難易度が上がります。「億円」規模の事業も少なくありません。

しかし「億円プロジェクト」のほとんどは、大手ITベンダーや大手システムインテグレーターなどの大手IT企業が総取りします。
億円プロジェクトを獲得した大手IT企業は、システム構築のリーダーとなる社員を数名任命します。この数名のリーダーたちは、プロジェクトの着手から完成までの業務を「立案・企画」「要件定義、仕様作成」「設計・開発」「運用・保守」などに分割し、どの作業をどの中堅IT企業に発注するか決めます。

大手IT企業から仕事を受注した中堅IT企業も同じ作業をします。つまり中堅IT企業でも、自社でリーダーを決め、業務を分割し、それぞれの業務を中小零細IT企業に発注するのです。
例えば「億円プロジェクト」のシステムづくりに述べ100人に関わったとしたら、元請けの大手IT企業からの参加者は、リーダーの数名にすぎません。

ITゼネコンのピラミッドはとても強固です。
大手IT企業は絶対的に偉い立場であり、多くの利益を持っていきます。ピラミッドの最下層の企業は、無茶な短納期と突然の仕様変更で散々苦しめられた挙句、少しの利益しかもらえません。

大手IT企業に入社できれば、会社員IT職でもIT土方にならずに済みます。「IT業界ってそんなに過酷ですか」と本気で思っているプログラマーやSEもいます。
しかしこのようなプログラマーやSEはほんの一握りです。スキルレベルやコミュニケーションレベルが彼らと同等でも、入る会社を間違えただけでIT土方になってしまうのです。

IT土方からの離脱を考えよう

IT土方から離脱するには2つの方法があります。1つはピラミッドの上を目指す方法です。中小零細企業にいるIT職は、中堅IT企業に転職しましょう。中堅IT企業の社員は大手を狙いましょう。
もしくは、IT企業以外で、システムを使ってビジネスをしている企業に転職しても、労働環境は改善するかもしれません。例えば、スーパーなどでも今は入荷情報や出荷情報をシステム上で管理しているので、IT部門が設置されていますが、なかなか専門職の人がいなかったりします。そのような会社には当然プログラマーやSEがあまり在籍していないため、とても重宝されます。

しかし転職には、若い人ほど有利という法則があります。例えば大手企業なら、自社で社員を育てる自信があるので、スキルが高い30代とスキルが低い20代が求人に応募してきたら、20代を採用する可能性が高いです。

そのため、ある程度年齢がいっているプログラマーやSEは、IT土方離脱法「その2」を採用してはいかがでしょうか。
それが独立開業です。

独立開業するとIT職の日常はこう変わる

IT職が独立開業することはとても簡単です。会社を辞め、最寄りの税務署に行ってA4用紙1枚の開業届という紙を提出して個人事業主になり、仕事を待つだけです。
これでフリープログラマー、フリーSEになれます。

会社員IT職がフリーIT職に転身すると、まったく変わらない部分と大きく変わる部分があります。
まったく変わらないのは仕事の内容です。プログラマーはフリーになってもプログラムを書きますし、SEはフリーになってもシステムづくりの統括をします。

ではフリーIT職になると何が変わるのでしょうか。
格段に働きやすくなるでしょう。ストレスはみるみる縮まっていくでしょう。
このように説明すると、次のような疑問がわくと思います。
「なぜ仕事内容が同じなのに、格段に働きやすくなるのか」
その答えはこうです。
「独立開業したフリーIT職はお助けパーソンになるから」

「助けてくれる人」「頼られる存在」になるから立場が有利になる

フリーIT職に回ってくる仕事のほとんどは、企業が抱える「自社でまかないきれない業務」です。例えば次のような仕事です。
・社長が大量に受注したが社内IT職が足りない。納期に間に合わない。
・大型プロジェクトに参加したが、社内にそのような大仕事をした経験のあるIT職がいない。仕事を完遂できない。
・社内のIT職が全員未熟。指導者がいない。

これらの仕事に共通するのは「発注企業が困っている」ということです。納期が間に合わないことも、プロジェクトを完遂できないことも、指導者がいないことも、会社の存亡に関わる危機です。

そのためフリーIT職は、仕事を発注する企業から「頼られる存在」になります。
企業のほうからフリーIT職に仕事を依頼しているので、フリーIT職のほうは、希望のギャランティ、希望の納期、希望の仕事の進め方を提示できます。発注企業がその条件を飲めば、フリーIT職は収入を確実にしつつ、自分のペースで働くことができるのです。

ただ「このような人」はまだ独立開業しないほうがよい

実力が身についたIT職は、真剣に独立開業を考えてみてはいかがでしょうか。
独立開業のしやすさでいうと、IT職はそのほかの職種からうらやましがられる存在です。例えば居酒屋の開業を目指している料理人は、開業資金として少なくとも500万円は用意する必要があるでしょう。
しかしIT職ならパソコンとスキルと頭脳があれば独立できるので、開業資金は実質0円です。

しかし次のような方は、例えIT職であってもまだ独立開業に踏み出さないほうがいいかもしれません。

まだ十分なスキルが身についていない人

独立開業したIT職と派遣のIT職は、どちらも会社に属していないというところは同じです。両者をわけるものは、「お助けパーソン」になれるだけのスキルを持っているかどうかです。

フリーIT職に回ってくる仕事は、企業が持てあました仕事です。短納期、困難プロジェクト、コミュニケーションが取りづらいクライアントからの仕事などです。ということは、フリーIT職は仕事が早く、難しい仕事が得意で、コミュニケーション上手でなければならないということです。

スキルがないのに退職してしまい、独立開業したけど仕事が回ってこなかったら、派遣などで食いつないでいかなければなりません。
派遣プログラマー、派遣SEは、中小零細企業の社員より過酷なIT土方になってしまうかもしれません。

営業と経理ができない人

フリーIT職は自分で仕事を確保しなければなりません。めぼしい企業の担当者に「困ったことがあったら、短納期で対応しますよ」と自己PRをする必要があります。これは営業です。

またフリーIT職は、自分の労働時間や希望年収などから、仕事を引き受けるときのギャランティを計算しなければなりません。
また、お金の出入りがあるたびに帳簿につけ、業務用の銀行口座を新規に開設してプライベートのお金と業務のお金を区別して管理しなければなりません。これは経理業務です。

IT職が独立開業するには、営業スキルと経理スキルが必ず必要になります。「営業も経理もやりたくない」という方は、独立開業には不向きといえるでしょう。

独学で新たなスキルを身につけるのが苦手な人

システムもアプリもAIもフィンテックもIoTも、毎日必ず進歩しています。しかし独立開業してしまうと、最新のIT情報の入手が困難になります。
そのため、独学で情報を集めたり独学が苦手な人は、独立開業に向いていないかもしれません。

独立開業を目指すのであれば、少なくとも複数のIT関連雑誌やIT系のWebメディアを定期購読し、各種セミナーに積極的に参加する必要があるでしょう。IT関連の見本市も必ず行きましょう。
情報とスキルの獲得に鈍感な人が独立開業してしまうと、時代の流れに取り残され仕事が段々減っていってしまうでしょう。

まとめ~いまは「IT独立」によいタイミング

多くの企業がIT職の人材難にあえいでいます。IT職は引く手あまたです。
ならば企業は社員IT職を大切にすればいいはずなのですが、会社によっては十分な利益を確保できず無茶な受注をしてスタッフを苦しめています。
そのため、IT職は自分で自分の身を守る必要があります。独立開業は自己防衛の一つの手段になります。
いまなら、IT関連の仕事がちまたにあふれているので、「デビュー」したてのフリーIT職にも仕事が回ってきやすく、独立開業にはよいタイミングといえるでしょう。

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