独立開業のリスク。ノーリスクではいけない現実。

独立開業の5つのリスクと6つの対策

独立開業でよく聞かれるのは、独立開業後、どの程度リスクヘッジしているかということです。
リスクヘッジとは、破綻するリスクを回避するためのあらゆる取り組みのことです。つまり「転ばぬ先の杖」です。

独立開業後に訪れるリスクは、会社員が抱えるリスクより大きいと考えておきましょう。
また独立開業するとビジネス的にも社会的にも弱い立場になるので、小さなリスクが破裂しただけでも致命傷になりかねません。

しかし独立開業したからこそ、リスクを取って大きなビジネスを展開したいですよね。
そこで、回避できるリスクは事前に潰しておきましょう。これをするだけで、のびのびと商売することができます。

そのために、独立開業したあなたが行うべきことは次の2点です。
・リスクの洗い出し
・取れる対策をすべて実行する
それぞれ詳しく解説します。

スキルが劣化するリスク

スキルが劣化するリスクは、どのジャンルで独立開業しても発生するでしょう。
なぜなら、世の中の最先端は、企業などの組織が担うからです。最先端や最新の仕事は、大きな資金と大勢のスタッフが必要なので、組織でしか取り組めないからです。

独立開業とは企業などの組織から離れることなので、普通にしていては最先端ビジネスにとどまることはできません。
リスクが劣化すると、その業界の「一軍」で通用しなくなります。二軍から三軍、四軍へとステージを落としていくことになります。
下のステージに行くほど、エキサイティングで高額ギャランティの仕事は減ります。

もちろん、独立開業後も「一軍」で活躍し続けている人はいます。そういう人たちはもちろん業界のカリスマなのですが、同時に自己研鑽を欠かしていません。
そのような天才たちですらスキルを磨いているですから、独立開業したばかりの人が勉強を怠るわけにはいかないでしょう。

では独立開業した人のスキル劣化リスクはどのように回避したらいいのでしょうか。

スキルが劣化するリスクはこう潰せ

独立開業した人が自分のスキル劣化を防ぐには、まずは情報収集です。業界紙や関連雑誌は定期購読しましょう。ネット情報は鮮度は高いのですが、情報の確度が弱いものが多いので、これはという情報源、例えば有料の専門コミュニティなどに絞り、情報を得るようにしましょう。
業界紙や雑誌、またWebサロンなどはお金がかかりますが「有益な情報は買うしかない」のです。

また、研修会や講習会にも定期的に出席しましょう。
独立開業のジャンルと、おすすめの業界紙、雑誌、研修会などは以下のとおりです。

プログラマーなどIT系で独立開業した人向けの業界紙や雑誌、Webコミュニティ、研修会など

●日経コンピュータ、日経ネットワーク(出版社:日経BP):日本経済新聞系のIT系雑誌。日本最高峰の経済系マスコミの情報の確かさが売り。
●ソフトウェアデザイン(技術評論社):OSやネットワークの情報が充実している。
●WEB+DB PRESS(技術評論社):Webアプリに特化しているので貴重な情報源となる。プログラマーやSE向け。
●富士通ラーニングメディア:IT系研修を多数開催。データ分析、AI、仮想化技術、Webコンテンツ、情報セキュリティなど。
●ITMedia:IT系の話題をまんべんなく横断的に扱っているWebメディア。上記の専門誌では扱わないようなWeb雑学的なものも扱うので、視点を変えたい際には非常に有用。

料理で独立開業した人向けの業界紙や雑誌、研修会など

●料理通信(料理通信社):国内外の最新のレストランを紹介している。レシピづくりや店づくりも学べる。
●WANDS(ウォンズ パブリシング リミテッド):洋酒の月刊誌。ワイン、スピリッツの生産動向がわかる。
●ヘルスケア・レストラン(日本医療企画):保健、医療分野の食にまつわる情報を集めている。
●外食日報(株式会社外食産業新聞社):外食産業情報の日刊専門紙。上場企業やファストフードの情報が得られる。
●株式会社コロンブスのたまご:飲食店経営や開店ノウハウに関する研修会を開催。

広告で独立開業した人向けの業界紙や雑誌、研修会など

●CMNOW(玄光社):CMの撮影現場を紹介する雑誌。
●広告(博報堂):コンセプトは「究極のアナログ雑誌」。発想の転換によい。あの博報堂が出しているので、独立開業した人は必見。
●月刊ネット販売(宏文出版):広告系で独立開業した人はネット広告に強くなっておかないと新規の仕事獲得は難しくなる。
●総合報道(総合報道)看板やサイン、ディスプレーの業界紙。小売りの動向やまちづくり情報も。
●広告ビジネス基礎講座:宣伝会議が行っている広告関係者向け研修。マーケティング、メディア戦略などが学べる。
●MarkeZine:Web広告を中心に広告・マーケティングを扱うWebメディア。有料の定期購読でしか読めない記事に有用なものが多数ある。

デザイナーで独立開業した人向けの業界紙や研修会など

●MdN(インプレス):ITデザインやグラフィック、DTPに携わっていれば誰でも知っている雑誌。イラストレーターやフォトショップのスキルアップができる。
●クリエイティブアカデミー:株式会社フェローズが行っている、デザイナーやクリエイター向けの研修を行っている。E-ラーニングもある。

お金を使って学習することは自分への投資

上記以外の業界にも「雑誌」「業界紙」「研究会」「Webコミュニティー」は存在します。独立開業した人のスキル劣化は、自分に直接投資して防ぐしかありません。つまり、お金を使って勉強することです。

仕事がなくなるリスク

独立開業した人で、仕事がなくなるリスクにさらされない人はいません。2~3カ月忙しい日が続いても、突如「この街からクライアントが一斉に消えたのではないか」と思えるくらい、ぱったりと仕事依頼が途絶えることがあります。

独立開業で個人ビジネスをしていると、一度に処理できる仕事量が限られるからです。多忙を極めると、新規の依頼を断らざるを得ません。

仕事を断ってきたフリーランスを二度と使わないクライアント企業は珍しくありません。
残念ながら、どの業界にも独立開業した人はあふれているので、クライアントにとっては「代わりはいくらでもいる」状況です。

そうなると、既存のクライアントからの仕事が止むと、まったく仕事がなくなる状態になってしまうのです。

仕事がなくなるリスクはこう潰せ

なるべく大きな企業の仕事を受けることで、仕事がなくなるリスクを少なくすることができます。大手と長くつきあうと、最悪あなたのほうから「なんでもいいので仕事をください」と泣きつけば、あなたが当面困らないくらいの仕事を「無理やり」つくってくれます。
その分、大手からの仕事は単価が安いのですが、仕事が途絶えるよりはましです。

また、あまりの忙しさに仕事の依頼を断らざるを得ない場合、断り方には十分注意してください。
次の2つのセリフは、どちらもクライアントに仕事を断るときに使うものですが、どちらが望ましいかわかるでしょうか。
A「大変申し訳ありません。スケジュールが空かないのでお引き受けできません」
B「納期はかかりますが、その仕事を引き受けさせてください」

正解はBです。クライアントが短納期を希望しているのに、「納期はかかる」と答えることは断っているのと同じなのですが、しかしBの言い方からは「実はとても仕事がしたい」という気持ちが伝わってきます。
Bのように言って仕事を断ったら、その後、少し手があいたらすぐにそのクライアントに連絡を取りましょう。クライアント企業を訪問して、会って挨拶してもいいくらいです。
「仕事を断ったら通常の2倍のフォロー」がクライアント対応の鉄則です。

仕事の単価が下がる

同じクライアントとの付き合いが長くなると、値下げ要請を受けることがあります。業務がルーティン化したので、あなたでなくてもできるようになったからです。
もちろん、その仕事をルーティン化できるまでに整理したのはあなたの力量のお陰です。業務マニュアルをつくったのもあなたです。
それでも、陳腐化した業務のギャランティが下がっていくのは、世の常です。値下げを受けるか、その仕事を失うか、究極の選択を迫られます。

仕事の単価が下がるリスクはこう潰せ

仕事の単価が下がるリスクを回避することは不可能です。
しかし少しリカバーすることはできます。
そのためにはまず、「ギャランティが下がりそうな雰囲気」を事前に察知することです。クライアントがその仕事に熱意を失っていたり、クライアント企業の業績が下がっていることなどが「値下げ要請のサイン」です。

もし「値下げ要請されそう」と感じたら、あなたのほうから値下げの提案をしましょう。「この仕事も長期化して、私の手間も少なくなったので、ギャラを下げてもらってもいいですよ」と言うのです。
そうするとクライアントはあなたに感謝するでしょう。そのタイミングで、次のような要請をしてみるのです。
「この仕事のギャラを下げる代わりに、単価が高い新しい仕事が発生したら、優先的に回してくださいね」
「この仕事のギャラを下げる代わりに、発注数を増やしてもらえませんか」

このような「図々しこと」をお願いできるのは、あなたのほうからギャランティの値下げを提案したからです。もしクライアントからの値下げ要請を受けた後に、上記のように言ったら、クライアントは不快に思うでしょう。

健康リスク

会社員時代は、定期健康診断がありました。そこで血液検査、尿検査、胃と肺のレントゲン検査、医師の診察を受けることができました。
ところが独立開業すると、誰もあなたに「健診に行きなさい」と行ってくれません。
また在宅業務で独立開業すると、人と会う機会が激減するので、健康に関する話題がなくなり、健康意識が低下します。

また人と会わない日が続いたうえに仕事のトラブルを抱えたりすると、鬱屈した気持ちになります。心の病にも気をつけなければなりません。

健康リスクはこう潰せ

健康リスクを減らすには、まずは市区町村が実施している健診を受けましょう。40歳以上になったら、できれば年1回、それが不可能なら年2回は人間ドックを受けましょう。人間ドックは数万円かかることもありますが、これも「自分への投資」です。
何しろ「独立開業した人の資本」のほとんどは、本人の健康だからです。

会社員の場合、健康を害して長期休暇を取ることになっても、給料の大部分は保障されます。しかし独立開業したあなたにはそのような制度はありません。
病気をして仕事の効率が下がると、同じスピードで収入も減っていきます。

飽きとマンネリのリスク

独立開業するかどうか悩んでいる人や、独立開業したばかりの人は信じられないかもしれませんが、独立開業して安定経営が続くと、飽きたりマンネリを感じたりします。

本業のスキルがしっかり確立していて、そつなく営業や人脈拡大をこなせる人は、意外に早く独立開業後の事業を軌道に乗せることができます。
そうなると、まるで会社員時代の仕事のように、ビジネスがルーティン化してしまうのです。

飽きとマンネリは、実は独立開業した人にとっては深刻な問題です。
会社員より刺激があるだろうと考えて独立開業の道を選んだのに、そこにも退屈な日常が待っていたのです。どうしたらいいでしょうか。

飽きとマンネリのリスクはこう潰せ

飽きとマンネリのリスクを回避するには、独立開業する前から「大きな夢」を持つことです。例えば「独立して3年経過して仕事を継続できたら、株式会社をつくる」といった起業を目標にしてもいいでしょう。
または、「年収1億円」という目標も有効です。それだけ高い夢を持っておけば、年収が1,000万円に達しても「まだまだだ」と思えるでしょう。

まとめ~モチベーションを失ったら社会貢献をしよう

独立開業後の仕事が順調すぎてモチベーションを失ったら、社会貢献、ボランティアをするのもひとつの手です。独立開業の仕事に飽きているということは、ビジネス自体に飽きている可能性があります。
例えば、NPO法人にノーギャラでの依頼を受けた結果、新しい人脈との出会いや、そのNPOが助けたかった人たちから感謝されることがあるかもしれません。
また、ボランティア活動で無償の奉仕を行い、困っている人や弱っている人を助ければ、「もっといい社会をつくらなければならない」と思えるでしょう。

そうなると、本業の「厚み」が増してきます。単なる金儲け目的だけでビジネスを続けると、成功したときにむなしい気持ちになります。そうではなく、自分のビジネスと社会がマッチングすればモチベーションを維持できるでしょう。

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