フランチャイズの契約って? フランチャイズ(FC)の仕組み

フランチャイズ契約は覚悟が必要。労働契約よりはるかに厳しい

もしあなたが、フランチャイズに加盟して独立開業しようとしているのであれば、「契約することの厳しさ」を認識しておく必要があります。これまで会社員として働いてきた人は、雇い主である会社と雇用契約を結んできたはずですが、フランチャイズ契約はその雇用契約よりはるかに厳しい内容となるからです。

会社員の多くは「働いてお金をもらうことは当然」と思っているでしょう。しかしそれは当然のことではないのです。労働法という強い法律が企業に「にらみ」をきかせているので、ほとんどの企業は労働の内容がどうあれ、従業員を働かせたら賃金を支払っているのです。なので、労働者は労働契約についてあまり気にしなくても大丈夫なのです。

しかし法律上、フランチャイズ加盟店オーナーとフランチャイズ本部は対等の立場です。加盟店オーナーだけを守る法律はありません。すなわち、加盟店オーナーが寝ずに働いても、「契約書に書かれていない」の一言で無報酬になることもあるのです。「そのようなことは聞いていない」が通用しない世界ですので、フランチャイズ契約についてはしっかり押さえておいてください。

フランチャイズ加盟希望者の心得

フランチャイズの業界団体である日本フランチャイズチェーン協会は、フランチャイズ加盟希望者に対し、次のような注意を呼び掛けています。

・法定開示書面を熟読する
・フランチャイズ契約書を熟読する
・納得するまでフランチャイズ本部に質問する
・自分が独立した事業者であることを自覚する
・自ら立地調査を行う
・自ら事業計画を立てる
・情報誌やネットでフランチャイズ本部のことを調べる
・複数のフランチャイズ本部を比較する
・弁護士、税理士、商工会議所に相談する
・フランチャイズ本部のなかには契約を急かしたり美辞麗句を並べたりするところもあるので十分注意する
・事前でも事後でも契約内容を変えることは事実上不可能

加盟希望者が上記のことを実施しないと、大なり小なりトラブルに見舞われることでしょう。訴訟になることもあります。このなかで、あまり耳慣れないながらとても重要な「法定開示書面」について詳しくみていきましょう。

法定開示書面は早い段階で確認しておこう

日本フランチャイズチェーン協会には、ほとんどのフランチャイズ本部が加入しています。協会は加入している本部(企業)に対し、「フランチャイズ契約の要点と概説」を作成し、加盟希望者に事前に配布するよう呼びかけています。また作成した「フランチャイズ契約の要点と概説」は、協会に提出しなければなりません。この「フランチャイズ契約の要点と概説」こそ、法定開示書面なのです。

フランチャイズ本部によっては、加盟に向けた話し合いが進まないと法定開示書面を加盟希望者に渡さないことがあります。しかしそれでは他社と比較できないので、加盟希望者は積極的に数社の本部から法定開示書面を入手しましょう。

法定開示書面には何が書かれているのか

法定開示書面に書かれてある内容は、いずれもあなたがフランチャイズ本部を選択するうえで欠かせないものです。つまりあなたが「この本部なら安心だ」「この本部は不安だ」と判断する材料になります。
法定開示書面に書かれてある内容を紹介します。

本部の損益計算書と貸借対照表

法定開示書面で最も大切なのは、本部の損益計算書と貸借対照表です。これによってその本部の経営が安定しているのか、借金が多く危ないのか、将来への投資を行っているのか、本業以外の事業が足を引っ張っているのではないか、といったことがわかります。経営が怪しい本部に加盟してしまうと、無理難題を押しつけられることになるでしょう。

ただ損益計算書も貸借対照表も数字が羅列されているだけなので、もし自分で解読できない場合、税理士などの専門家に解説してもらいましょう。または知り合いの経理経験者でもこれらの書類を読み解くことはできるでしょう。

店舗数の推移

法定開示書面には店舗数の推移も掲載されています。店舗数が増えていれば、消費者から受け入れられている業態であり、その本部は成長していると推測できます。店舗数が減っているということは撤退=閉店が増えているということなので、消費者から飽きられているのかもしれません。
ただ、店舗数が増えていても絶対安心とはいえません。既存店の売上不振を新規出店攻勢でごまかしているだけかもしれないからです。もしそうなら、そのようなフランチャイズは一気に窮地に陥ります。また店舗数が減っているからといって「ダメ経営」ともいえません。不採算店を整理して財務状況を改善し、既存店の底上げに力を入れる戦略かもしれません。
店舗数はフランチャイズの生命線なので、店舗数の推移からはいろいろなことがわかります。

本部に支払うお金

その本部がしっかりしたビジネスを行っていることが確認できたら、次は「本部に支払うお金」をチェックしてください。本部は加盟店オーナーに、ロイヤリティ以外にもさまざまなお金を請求します。これを知っておかないと、「働けど働けど全然儲からない」状況に陥ることになります。

<ロイヤリティ>
ロイヤリティとは、フランチャイズの名称、ノウハウ、商材などを使って商売させてもらうことの対価です。毎月、売上の数%~数十%徴収されます。

<広告宣伝費>
フランチャイズによっては、ロイヤリティのほかに広告宣伝費を徴収することがあります。フランチャイズ本部は加盟店の売上があがるように広告や宣伝を打ちますが、それにかかった費用は加盟店から徴収するのです。これも毎月徴収されます。

<加盟金>
フランチャイズへの加盟が決まると、加盟店オーナーは加盟金という一時金を本部に支払います。業界によって数十万円から数百万円まで幅があります。これは最初に1回支払うだけです。

<保証金>
保証金は加盟金と一緒に支払うことが一般的です。金額は数十万円のことが多いでしょう。保証金は、加盟店オーナーがフランチャイズ本部に損失を与えたときに使われるお金です。そのため、無事故、無トラブルですごし、フランチャイズを脱退すれば、保証金は戻ってきます。

<そのほかのお金>
そのほかにも、研修費や設備費など、「なにかあるごと」に加盟店にお金を請求するフランチャイズ本部もあります。本部の複数の担当者に「これ以外、お金はかからないですよね?」と確認しておいたほうがいいでしょう。

テリトリー

コンビニで大きな問題になるのがテリトリーです。もちろん他業種でもテリトリーは大きな問題を引き起こします。テリトリーとは営業圏、または営業地域という意味ですが、フランチャイズ業界では、本部が加盟店オーナーに対して「この範囲のなかで新規に出店することはない」と約束することです。
あなたが出店した場所の近くに同じブランドの店が別のオーナーによって開業されたら、売上が落ち込むのは確実です。そこで本部がテリトリーを定め「このなかでは出店しません」と約束して加盟希望者を安心させるわけです。

しかし本部が必ずテリトリーを約束するとは限りません。都心部ですと、数百メートルしか離れていないのに同じブランドのコンビニが並んでいることがあります。テリトリーの約束を書面で交わしておかないと、このような目に遭ってしまいます。

本部はときに、狭い地域に出店攻勢をかけて他ブランドを駆逐しようと考えます。そのためあえて加盟希望者にテリトリーを約束しないことがあるのです。しかし加盟店オーナーがそれに合意してしまっては、消耗戦を強いられるのは明らかです。

複数の本部を比較することは難しい。予習が大切

フランチャイズ加盟の初心者向けの「教科書」には「フランチャイズ契約は慎重に行おう。同業他社の契約内容と比較したほうがよい」といったことが書かれてあると思います。
例えばコンビニで独立開業しようとした場合、A社とB社とC社の契約内容を比較したほうがいいのは言うまでもありません。

しかし、本当に「数社の契約書の比較」はできるでしょうか。本部が契約書の内容を示すのは、説明会→個別相談→1次面談→現地視察→資金繰りの相談→2次面談→最終面談などを経た後です。ここまで進んだ段階で本部の部長から契約書を示されて「では問題なければ印鑑を押してください」と言われたとします。そのときあなたは「他社の契約書をすべてみてから押印します」と言えるでしょうか。

日本のビジネス習慣では、契約書が現れるのは双方の気持ちが99.99%固まってからです。契約書は超重要な書類でありながら、それまでの合意内容を確認する役割にとどまっていることがほとんどです。そのため、数社のフランチャイズ本部の比較は、契約書が現れる前に済ませておかなければならないのです。法定開示書面を数社分入手することはもちろんのこと、数社の担当者全員に同じ質問をぶつけ、徹底的に比較検討しておいたほうがいいでしょう。

最高裁が「24時間営業をやめることはできない」と判断した事例

セブンイレブンの加盟店オーナーがセブンイレブン本部を相手取り「24時間営業などを強要されるのは不当」として訴訟を起こしたことがあります。
しかし一審から最高裁まで一貫して、加盟店オーナー側が負ける判決が出ました。裁判所の判決理由は「24時間営業が行われないとセブンイレブンのイメージが損なわれる。加盟店オーナーには24時間営業を提供する義務がある」というものでした。「それくらい契約書は強い」ことを思い知らされる事例といえるでしょう。

参照:コンビニ加盟店主の敗訴確定 24時間営業差し止め訴訟(日本経済新聞)

まとめ~対等だが弱い立場

フランチャイズ本部と加盟店オーナーは「法律上は」対等ですが、「力関係では」断然オーナーのほうが弱い立場にあります。加盟店オーナーが頼りにできるのは自分だけですが、本部には経営のプロや店舗運営のプロ、商品開発のプロ、仕入れのプロ、契約書のプロなどがたくさんいるわけです。本部にはそのほかに、顧問弁護士も公認会計士もついています。
もしトラブルが発生したら、加盟店オーナーが本部に対抗できるのは契約書だけです。契約書の締結は慎重に行いましょう。少しでも疑問があったら、判を押すのを待ちましょう。

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