退職、脱サラ・・・ 独立開業するには? 独立開業の方法

退職、脱サラ…独立開業は「辞める」ことから始める

独立開業の準備が整ったら、あとは実行に移すのみです。独立開業の実行は、いま勤めている会社を退職することから始まります。
サラリーマンなど勤め人から脱出することになるので、独立開業することを「脱サラ」といいます。

退職の仕方は十分注意してください。「変な辞め方」をしたばかりに独立開業のスタートダッシュを失敗することは珍しくありません。
退職には少なからず不愉快な思いがつきまといますが、決して「喧嘩退職」などしないようにしてください。

いまの勤務先は「最初のお客様」と考える

独立開業しようとしているあなたが「よい辞め方」をしなければならないのは、いま勤めている会社が最初の顧客になるかもしれないからです。

独立開業後のあなたが最初にぶち当たる壁は、顧客の確保です。顧客ができないと、手元の預貯金を食いつぶすことになり、そのままだと会社員に逆戻りです。

退職する会社も独立開業後のあなたを必要としている

独立開業を早期に軌道に乗せる最も確実な方法は、いま勤めている会社を最初の顧客にすることです。
これは、あなたが助かるだけでなく、あなたが辞める会社にも恩恵があります。あなたの後釜が見つかるまで、あなたが継続して仕事を請け負ってくれれば、業務が滞りません。
もしくは、元の会社があなたに、あなたの後継者の教育係を依頼するかもしれません。その後継者が1人前になるまで、仕事を確保できるわけです。

テレビ局の社員アナウンサーが、独立した後も同じテレビ番組の仕事を継続することがありますが、それと同じイメージです。
これが、独立開業している人ほどよい辞め方をしなければならない理由です。

元の会社は貴重な情報源

キレイに退職すると、独立開業した後に元の会社に遊びに行くことができます。元の上司も「どうしている? うまくいっているか」と言ってくれるでしょう。
それが新しい仕事に結びつくこともありますが、しかし仕事にならなくてもいいのです。元の同僚や上司と話すだけで業界の最新情報が入手できます。
独立開業すると情報源が絶たれます。そこで元の会社の人脈を残しておいて、いつでも最新情報を入手できるようにしておいたほうがいいのです。

こういう「よい辞め方」をしよう

独立開業を考えている人の理想の辞め方は、「惜しまれること」と「応援してもらえること」です。このどちらかでも達成できれば合格ですが、せっかくですので両方を目指してみませんか。

なぜ惜しまれる退職をしなければならないのか

惜しまれる退職とは、現在の勤め先の同僚や上司たちに「君がいなくなると困る」と言われることです。もしくは「あなたがいなくなると会社の雰囲気が変わってしまう」と言われることです。

惜しまれる退職をするには、いま勤めている会社で戦力にならなければなりません。
難易度の高い仕事をこなし、人が敬遠する仕事を断らず、納期を守り、困っている後輩を助け、手柄を上司に渡すことです。

そして社内の融和に努めましょう。積極的に管理職と新人社員に橋渡し役になりましょう。社内のレクリエーションに参加して、飲み会もなるべく多く出席します。

これらの行動はいずれも「できるビジネスパーソンの見本」でもありますが、独立退職を考えている人にとっては「営業活動」にほかなりません。
惜しまれる辞め方をしておけば、会社を離れても何らかの形で必ず助けてもらえます。

応援してもらえる退職とは

応援してもらえる退職とは、現在の勤め先の同僚や上司たちに「お前が独立するのは当然だよ」と言われることです。もしくは「君のやろうとしていることは成功すると思うぞ」と言われることです。

退職するときにこのように言ってもらうには、いまの会社で新規事業の立ち上げに積極的に関わりましょう。新しい仕事をゼロからつくりあげた実績は同僚たちの記憶に鮮明に残るからです。
元の同僚たちがあなたの独立開業に興味を持つと、彼らが困ったときにあなたを頼ろうとしてくれます。それが新しい仕事につながります。

では逆に、元の同僚たちが、あなたの独立開業をまったく応援しないケースを考えてみましょう。同僚や上司が「あいつの力でうまくいくわけがない」と思われているということです。
そのように思われていた人が独立しても、誰もその人に仕事を回さないでしょう。

「喧嘩」は最悪。退職は最初の試練ととらえよう

喧嘩退職はとても気持ちがいいものです。これまで耐えてきたパワハラに仕返しができるチャンスです。喧嘩までいかなくても、引き継ぎを放棄するだけでも会社を困らせることができます。

しかし、どれだけその会社で嫌な思いをしたとしても、独立開業のために辞めるあなたは、喧嘩退職はしないほうがいいでしょう。引き継ぎ業務もしっかり行ってください。

喧嘩退職は百害あって一利なしです。
独立開業したときに、あなたが退職時にこてんぱんにとっちめた相手から嫌がらせを受ける可能性があります。
特に独立後も会社員時代と同じ仕事をする場合、あなたとその相手は、依然として同じ業界に居ることになります。その相手が業界内に「あいつは以前うちの会社にいたが、とんでもない奴だった」といった噂を流したら、仕事は当分もらえないでしょう。

喧嘩退職しないほうがよい理由はまだあります。
嫌な思い出しかない会社でも、笑顔で去ることができれば、あなたに忍耐力が身につきます。
独立開業すると、会社員時代よりも強靭な忍耐が必要になります。独立開業すると、取引先企業の学校を出たばかりの新人社員ですら「お客様」になります。そのような「若者」からダメ出しを食らうことは、独立開業では日常茶飯事です。

あなたが「憎たらしい」と思っている同僚や、あなたをいじめ抜いた上司に向かって営業スマイルを振りまけないようでは、独立開業の道を突き進むことはできないでしょう。

会社のものは「盗んじゃだめ」

退職をするとき、会社から秘密保持誓約書にサインするよう求められたり、競業避止(きょうぎょうひし)義務を負わされたりすることがあります。
秘密保持とは、その会社で見聞きした企業秘密を退職後に漏らしてはいけないという取り決めです。競業避止義務とは、元の会社のライバル会社に転職することを禁じるルールです。

秘密保持義務と競合避止義務

秘密保持も競業避止義務も、「独立開業すれば関係ない」では済まされません。独立開業した直後に、元の会社と直接バッティングするようなビジネスは控えましょう。
法律的に問題のない範囲で仕事をしていても、元の会社から「うちのノウハウを盗んで商売している」と言いがかりをつけられたらビジネスに支障が出ます。

顧客リストも原則持ち出し禁止

また、会社員時代の顧客リストは持ち出し禁止です。自分の足で集めた顧客リストであっても、です。会社員時代に取引先からもらった名刺も、会社によっては退職時に会社に残すよう指示されます。
元の会社の取引先に、独立開業後に猛アプローチをかけることも慎重になったほうがいいでしょう。もし、元の会社の取引先にアプローチをかけなければならないときは、元の会社に事前にその旨を伝えておいたほうがいいでしょう。

辞め方に人間性が出る

独立開業したら、もう会社の看板は使えません。あなたがビジネスで使う看板も、あなたが売る商材も「あなた自身」です。
つまり独立開業のビジネスの成否は、100%あなたにかかっているのです。

立つ鳥跡を濁さずの精神でいこう

辞め方には人間性が出ます。引き継ぎメモをしっかりつくって最後まで後任者を指導する人がいる一方で、退職が決まった途端に残業を一切拒否し、残っている有給休暇をすべて消化する人もいます。
もちろん残業しないことも有給休暇の完全消化も労働者の権利です。しかし別の会社で労働者を続けるのではなく、独立開業といういわば1人経営者の道を歩もうという人は、退職までの期間のすごし方がとても大切です。
「会社を辞めで独立する」と決めた時点で、独立開業の仕事が始まっているからです。

まとめ~「独立後のビジョン」を持っていればキレイに辞められる

上手にキレイに会社を辞めた人ほど、独立開業後のビジネスは軌道に乗りやすいでしょう。それは独立開業後のビジョンが明確だからです。そのような人にとって、これから辞める会社はすでに過去のものであり、なおかつ独立後に協力できるビジネスパートナーになりえます。
もめて辞めるわけがないのです。

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