独立開業と起業の違い。どういうことだろう?

独立開業と起業はこんなに違う

会社を辞めて独立開業し、仕事が順調に回り始めたあなたが次に考えるべきことは、起業ではないでしょうか。
起業は独立開業のバージョンアップ版です。
起業することでビジネスを大きくなり、社会への影響力が高まります。ビジネスパーソンとして、次のステージに進むことができるわけです。「世の中を自分が考案したビジネスで変えたい」という気持ちを持っている方は、起業するしかないでしょう。

ただあなたが独立開業から起業に移行すると、あなたの立場もフリーランスから経営者に変わります。これはとても大きな変化です。

そこで、起業のためにすべきことと起業に伴う責任について、独立開業と比較しながらみていきます。

起業のためにすべきこととは

独立開業したばかりのフリーランスも、起業した社長も、「誰からも雇われていない」という点では共通しています。しかし起業には「組織を設立する」という、独立開業とは異なる作業があります。

つまり起業するには、ヒト・モノ・カネを集め、それらを運営する「組織」が必要になります。
起業に必要な組織には、株式会社や合同会社、NPO法人、一般社団法人などがあります。中でも、最もポピュラーな起業形態である株式会社について解説します。

株式会社をつくること

株式会社をつくる手続きはいくつかありますが、重要なのは次の4点です。
・事業を定める
・資本金を集める
・経営陣を決める
・従業員に仕事をさせる
1つずつみていきましょう。

事業を定めること

独立開業をするだけなら、好き勝手に事業を展開することができます。例えば、システムエンジニアが会社を辞めて喫茶店を開いたものの、あまり繁盛しないので小遣い稼ぎにプログラミングの仕事をすることも、独立開業の段階なら許されます。

しかし起業して株式会社を立ち上げたら、「この事業が儲からないからあの事業をやる」といったことは簡単にはできません。
そのため起業する人は、「この仕事で日本一を目指す」といった明確な事業づくりが必要になります。
もちろん、事業が軌道に乗ったら、多角化することは問題ありません。

資本金を集めること

独立開業でも事業を行うには資金が必要ですが、起業という規模で事業を行うには、さらに大きな資金が必要です。株式会社ではそれを資本金と呼びます。

資本金はあなたを含む創業メンバーで全額を負担してもいいのですが、それで足りない場合は、出資者を募ることができます。
出資者を集めることができるのが、株式会社の最大のメリットです。株式会社をつくれば、お金だけ出してもらって経営に口出ししない人を集めることができるのです。お金を出してくれた人には、「お礼」として利益の中から配当金を支払えばいいのです。

もちろん法律的には、株主は経営に口出しすることができます。しかし日本のビジネス慣例では、投資に専念する株主はあまり経営に関与しません。

経営陣を決めること

あなたが株式会社の代表取締役を務めたとしても、それだけでは会社を運営できません。会社を運営するには、経営陣というグループを結成する必要があります。
株式会社の経営陣は、取締役会がある会社なら取締役会がそれに該当します。

株式会社を発足した当初は、創業メンバーが経営陣になりますが、事業が始まってしばらく経つと、「会計のプロが必要だ」「営業を仕切れる人がほしい」といった「経営陣の力量の穴」が浮き彫りになってきます。
その場合、従業員の中から優秀な人材を経営陣に加えたり、ヘッドハンティングをしたりして、穴を埋めます。

株式会社が成功するかどうかは、このチームづくりよって決まります。

従業員に仕事をさせること

株式会社は経営陣だけでは動き出しません。経営陣が考案したビジネスモデルや経営戦略を実行に移す従業員たちが必要です。

株式会社設立当初は、あなたも経営陣もプレイイング・マネージャーとして従業員と一緒に動く必要がありますが、いつまでもそれを続けていると、会社は大きくなりません。
会社が大きくならないということは、会社の社会貢献度も高まらず、儲けも大きくならないといことです。
そのため、あなたたち経営陣は経営に専念し、仕事の実施は従業員に任せていく必要があります。

起業は独立開業よりはるかに大きな責任が伴う

以上、あなたが起業するときに行わなければならない4つの仕事「事業を定める」「資本金を集める」「経営陣を決める」「従業員に仕事をさせる」をみてみました。

要するに起業とは、他人のお金と他人の能力と他人の労働力を結集して、自分が社会に必要と考える事業を行うことにほかなりません。
他人のお金と他人の能力と他人の労働力を使うからには、責任が伴います。その責任は、事業を成功させることでしか果たすことができません。

つまり起業をする人が絶対にやらなければならないことは事業を成功させること、すなわち経営を安定させることです。

経営を軌道に乗せることでしか株式会社は責任を果たせない

例えば出資金を出してくれた株主には、配当金という形で出資金より多くのお金を渡す必要があります。もしくは株主に多額のお金を支払って株式を買い戻すことによっても、株主に報いることができます。
起業した人は、配当金や株式の買い戻しの原資をつくるために営業利益をあげていく必要があります。

また従業員に仕事をさせるには、給料を支給するだけでは足りません。従業員が安心して働けるよう、雇用の継続を約束しなければなりません。
なぜなら従業員は、その会社専用のスキルを身につけるからです。もし会社が簡単につぶれてしまったら、従業員は別の会社に行ってまた別のスキルを身につけなければなりません。それは従業員にとって迷惑な話です。

会社の経営が順調でなければ、従業員に雇用の継続を約束できませんし、従業員の給料を増やすこともできません。

起業すると自分のことだけに集中できない。退場を命じられることも

起業した人が順調な経営を行い、株主にたっぷり配当金を渡し、従業員に他社より多い給料を渡せば、さらに資金が集まり、優秀な人材が集まります。
潤沢な資金と優秀な従業員がいれば、経営はさらに順調になります。
ここに好循環が生まれます。

独立開業しただけの人なら、自分の収入を増やすことだけに集中できます。
しかし起業した株式会社の社長は、そのほかの経営陣メンバーのこと、株主の利益、従業員の安定雇用に気を配らなければなりません。

また独立開業しただけの人なら、大儲けできたらしばらく活動を休止することもできます。裁量権は100%自分にあり、仕事を自由に進めることができます。
しかし起業した株式会社の社長にはそれが許されません。順調な経営を、自分が引退するまで継続させなければならないのです。
起業した人は24時間365日、休みなく会社のことを考えなければなりません。

また、独立開業しただけの人なら、誰からも「仕事を辞めろ」とは言われません。仕事と顧客がいれば、いつまでも仕事を続けることができます。
しかし起業した株式会社の社長は、経営が悪化すると、株主からも経営陣メンバーからも従業員からも「退場」を命じられます。
また社長は自分が悪くなくても、経営陣メンバーや従業員の不祥事の責任を取って辞任を突きつけられることもあります。

まとめ~起業した人と会社は別人格

株式会社のことを法人といいます。つまり会社には人格が与えられているのです。
会社に人格があるということは、起業した人とは別人格であるということです。
独立開業は「ビジネスパーソンとして成長した姿」、起業は「ビジネスパーソンが産み出したもの」という違いがあります。

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