フランチャイズとのれん分けの違い

2018.07.14

独立開業の方法と言えば、ラーメン屋や老舗の寿司屋などでよく聞く「のれん分け」というものがあります。この「のれん分け」、どのようなものなのか詳細をしっかりと説明できる人はあまり多くありません。

また最近ではフランチャイズで独立開業という人がたくさんいます。フランチィザーと呼ばれるフランチャイズ本部とフランチャイズ加盟の契約を結び、店舗オーナーとなる方法です。

この「のれん分け」と「フランチャイズ」、どちらも独立開業の選択肢ではありますが、事業目的や独立開業に至るまでの経過に違いがあります。今回はその違いについて説明していきます。

フランチャイズとは

フランチャイズとは、ビジネスモデルの一種です。フランチャイズ加盟者(フランチャイジー)は、フランチャイズ本部(フランチャイザー)から商品・サービスを提供する権利や経営や業務のノウハウが「フランチャイズ・パッケージ」という形で提供され、それに対しフランチャイジーは毎月ロイヤリティを支払います。

少し前までは、コンビニチェーンや外食産業がフランチャイズとして有名でしたが、現在では小規模のフィットネスクラブやレンタルショップ、学習塾に至るまであらゆる業種にフランチャイズシステムが適用されるようになっています。

フランチャイザー側のメリット

フランチャイザー側のメリットとして、出店に必要な店舗物件や土地はフランチャイジー側が用意する仕組みなので、その取得にかかかる費用や時間を大幅に短縮することができ、コストを抑えて事業拡大することが可能になる点が挙げられます。

また、フランチャイズ展開後にはフランチャイジーからのロイヤリティによって安定的な収入が見込めることから、資本の小さな企業もフランチャイズシステムを導入する傾向にあります。

フランチャイジー側のメリット

フランチャイジー側のメリットは様々ありますが、フランチャイズ・パッケージが用意されていることで、ノウハウの提供や経営指導を受けることができるので、未経験からでもそのサービスに新規参入が可能な点が挙げられるでしょう。

費用面では、個人で開業しようとすると金融機関からの資金調達が大きなハードルとなりますが、フランチャイズの場合、フランチャイザーが立地などの条件が類似した加盟店の実績を基に、信頼性の高い事業計画書を作ることができるので、金融機関からの信用を得られやすく、結果的に資金調達ができやすくなります。

また、加盟するフランチャイズ本部のブランドイメージを受け継ぐことができますので、既にある知名度を活かすことで、初期段階から安定した経営を行うことが期待できます。

フランチャイザー側のデメリット

フランチャイザーはフランチャイズ加盟店舗が増えれば増えるほど、店舗管理が困難になっていくというデメリットを抱えます。管理が難しくなると、店舗間のクオリティにバラつきがでてきてしまい、最悪、ブランドイメージを損なう店舗が出てきかねません。しかも、ブランドイメージの低下はその店舗だけではなく、他の店舗までも強く影響を受けてしまいます。

また、フランチャイジーは独立した事業者という立場であるが故に、もしその店舗の経営に問題があるとフランチャイザーが判断したとしても、経営者の交代や実行的な改善などが不可能である点もフランチャザー側にとってはデメリットとなります。

フランチャイジー側のデメリット

フランチャイジーは費用面に関して、加盟金や時には保証金などフランチャイズとして開業する為の独自の費用が発生するので、結果的に個人で開業するよりも費用が多くかかってしまうケースも多々あります。

フランチャイジーは原則としてフランチャイザーが決定したマーケティングや経営方針に従わなければなりません。しかし、その手法に問題があった場合でも、フランチャイジー側がそのリスクを負うことになります。そして、契約内容にもよりますが、原則的に赤字状態であってもロイヤリティを払い続ける必要があり、これは大きなデメリットと言えるでしょう。

のれん分けとは

のれん分け制度自体は江戸時代からあります。その当時ののれん分けは、長年仕えた奉公人や家人が一人前になると、労を報いるために、同じ屋号の店を出すことを許可し、その独立をサポートする制度でした。この場合の「のれん」とは、お店の名前や技術、伝統や顧客から材料の調達先、事業のノウハウ等、その店の有形無形の財産のことを言います。

現代ののれん分け制度も、店で修行を積んで認められた人間がその店の屋号を使って開業する仕組みです。ラーメン店などの飲食店業に多く、比較的小規模な開業スタイルに多いようです。

企業側のメリット

のれん分け制度を導入する企業側のメリットとして、人材不足の解決事業拡大を行える点が挙げられます。

主にサービス業で働いている従業員の多くは将来独立を考えています。そのような人材を時間をかけて教育し、一人前に育て、自社ブランドの新たな担い手としてのれん分けをすれば、個人で独立し自社で培ったノウハウや顧客を奪われることもありません。むしろ、心強い味方として事業拡大を支えてくれることも期待できます。

のれん分け店舗側のメリット

まずはその店舗や企業で実務経験を積むことが必要となりますので、フランチャイズのように未経験で開業できる可能性は低い分、店舗の運営や技術的に習熟した状態で開業することになるので、よりリスクは少なくなります。

また、のれん分け制度は「円満な形の独立」となるので、働いていた店や企業からのれん分けし独立した後もサポート受けられることが多くあります。

企業側のデメリット

のれん分け制度を導入するメリットは大きいですが、実際に制度を運用していこうとすると非常に難しいと言わざるを得ません。のれん分けした店舗が、所謂「のれんに傷をつける」行為をしてしまったり、経営方針等の違いにより分裂してしまうケースも多々見受けられます。

のれん分け店舗側のデメリット

のれん分けをしてもらうには、従業員として数年単位で勤務する必要があるため、すぐに開業したい人にとっては利用が難しいシステムになっているというデメリットがあります。

フランチャイズとのれん分けの違い

フランチャイズとのれん分けの相違点は、大きく3つあります。

費用面

加盟金やロイヤリティなど本部に支払う必要のあるお金が、のれん分けはフランチャイズに比べて、加盟金は減額、ロイヤリティは低率に設定されている場合が多いです。

経験の有無

のれん分けの場合はその店や企業で実務経験を積むことが必須ですが、フランチャイズはその必要がありません。

経営の自由度

フランチャイズはフランチャイザーが決定した方針やブランドイメージに従わなければならず、新商品の開発や経営戦略に携わることはできません。
しかし、のれん分けの場合、メニュー開発など比較的自由に経営を行うことが可能な場合が多いと言えます。

まとめ

フランチャイズとのれん分け、実はこの2つは似ているようで違うことがお分かりいただけたでしょうか。のれん分けは内部の人間の独立、フランチャイズは外部の人間の独立となります。

もし、今すぐに独立開業したい、あるいは未経験の業種で開業してみたいと考えている場合には、フランチャイズが適していると言えるでしょう。いずれにせよ、そのメリット、デメリットを理解し、自分自身のことも考慮しながら独立開業の準備をされることをおすすめします。

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