フランチャイズのよくある質問その9 同業他社のフランチャイズへ移ることってできるの?

2018.07.07

フランチャイズでの独立開業を考えて業種や分野を検討していると、同じ業種や分野でもいろいろな特徴を持ったフランチャイザーがいることが分かります。フランチャイズオーナーたちは、それぞれのフランチャイザーを比較し自身の経営に最も合うフランチャイザーを選んで独立開業しています。

しかし、独立開業後にフランチャイザーとの相性が悪いことが分かった場合、どうしたら良いのでしょうか。

そんなときは、別のフランチャイザーを選択する、個人で独立開業するなどの選択肢が考えられるでしょう。別のフランチャイザーを選ぶのであれば、すでに経験のある同業他社を選びたいと思うかもしれません。

今回は、同業他社のフランチャイズに移ることが可能かどうかについて見ていきましょう。

秘密保持義務とは?

結論から言って、現在のフランチャイズ契約が終了してから数年間は、同業他社のフランチャイズに移ることは難しいと言えます。
これには、秘密保持義務と競業禁止義務が関係しています。ここでは、秘密保持義務について詳しくご説明します。

秘密保持義務とは、フランチャイズシステムの営業秘密などを保護するためにフランチャイズオーナーに課せられる義務です。フランチャイズオーナーは営業秘密の使用目的や使用方法を制限され、第三者に漏えいさせることも禁止されます。

秘密保持義務はフランチャイズ契約中もフランチャイズ契約終了後も守る必要があるため、同業他社に移る際には情報漏えいに注意しなければなりません。

ここでいう情報とはフランチャイザーから提供された情報を広く含むため、同業他社に移る場合は前のフランチャイザーの情報はほぼ使用できないと考えたほうが良いでしょう。

フランチャイズオーナーが秘密保持義務に違反した場合、営業秘密の使用差し止めや損害賠償請求される可能性があります。違反によるフランチャイザーの損害を算出するのは難しいため、多くのフランチャイズ契約書には違約金といった形での損害賠償請求が明記されています。

秘密保持義務を守るべき期間は厳密に定められていません。

フランチャイザーが提供していた情報を同業他社が一般的に使うようになったり、情報が古くなってフランチャイザーのシステムなどが更新されるなど、秘密保護の必要がなくなれば守秘義務はなくなると言われています。

どちらにしても、秘密保持義務の期間はフランチャイザーによって異なり、フランチャイズ契約書に記載されていることもありますので、事前の確認が必要でしょう。

競業禁止義務とは?

同業他社への移行が難しい理由として、秘密保持義務と競業禁止義務の2点を挙げました。ここでは、競業禁止義務について詳しくご説明します。

競業禁止義務とは、フランチャイザーの許可がない限り、同業または類似の業務を行うことを禁止する義務です。
競業禁止義務は、フランチャイザーの営業秘密の保護と顧客や商圏の確保を目的としています。

競業禁止義務は秘密保持義務と同様、フランチャイズ契約後も一定期間守る必要があります。しかし、秘密保持義務と違って憲法第22条の営業の自由(職業選択の自由)との兼ね合いがあるため、現在は約2年から3年が適切な守秘期間と言われています。

競業禁止義務については、契約終了後のフランチャイザーとフランチャイズオーナーの間で何度か裁判が行われています。どの判決でも、基本的な競業禁止義務の適用は認められており、競業禁止義務の過度の適用と判断された場合のみ条件の緩和などが求められています。

原則として、禁止される業務の範囲、禁止される場所の範囲、禁止される期間が過度に広範囲でなければ競業禁止義務は適用されます。

競業禁止義務に違反した場合、フランチャイザーは同種営業行為の差し止め請求や損害賠償請求をすることが可能です。禁止期間は2年程度の判例が多く、損害賠償ではフランチャイズ契約で定めた違約金規定に従うことが多いようです。

もしフランチャイズ契約書に競業禁止義務の規定がない場合でも、信義則上の競業禁止義務が認められる可能性があるため、注意が必要です。

いずれにしても、フランチャイズ契約後一定条件で同業他社での経営は制限されると言ってよいでしょう。

競業禁止義務が争点となった判例

では、フランチャイザーの情報提供が不十分だったためにフランチャイザーとの契約を解除した場合でも、秘密保持義務や競業禁止義務は守らなければいけないのでしょうか。

ここでは、実際にあった判例を元にフランチャイザーの情報提供と競業禁止義務について見ていきましょう。

平成22年5月27日の大阪地判で行われた裁判です。

原告側であるフランチャイザーは高齢者向けの弁当宅配事業を営んでいます。

フランチャイザーは被告側である元フランチャイズオーナーに対して、元フランチャイズオーナーがフランチャイズ契約解除後もフランチャイザーの事業を継続しており、競業禁止義務違反であるとして営業の差し止めを請求しました。

これに対して、元フランチャイズオーナーはフランチャイザーが誤った売上予測を提供し、損害が生じたため、フランチャイザー側の債務不履行に対して加盟金やロイヤリティなどの損害賠償を請求しました。

これらの裁判の争点は、元フランチャイズオーナーの競業禁止義務違反の有無とフランチャイザーの情報提供義務違反の有無の2点です。

結論としては、競業禁止義務違反は肯定され、情報提供義務違反は否定されました。

競業禁止義務違反に関しては、フランチャイザー側の競業禁止義務の区域が限定されており、違約金の定めもないことから、営業の自由を不当に制限しておらず公序良俗に反していないという結論でした。

また、元フランチャイズオーナーの店舗は同一の場所、ほぼ同一のメニューで営業を行っていたことからフランチャイザーと同一の事業を行っているとして、フランチャイザー側の訴えが受け入れられました。

情報提供義務違反に関しては、一般的にフランチャイズオーナーはフランチャイザーから提供される情報に大きく影響を受けるものであり、フランチャイザーから提供される売上予測はフランチャイズオーナーが加盟の判断をする際の重大な要素であるとしています。
そのため、フランチャイザーは客観的かつ正確な情報を提供すべき信義則上の義務はあると言えるようです。

しかしながら、フランチャイザーが提供した情報は明確な売上予測として示されたものではない点、フランチャイズオーナーの営業努力により顧客を獲得することを前提条件とした説明がなされていた点から、必ず売上予測通りの収入が得られると誤認させるものではないと判断されました。

また、売上予測通りの収入が得られなかったのは元フランチャイズオーナーの経営手法によるものであり、フランチャイザー側の売上予測が誤っていたためではないということで、フランチャイザー側の情報提供義務違反は否定されました。

この判例から分かるように、あくまでフランチャイズオーナーは独立した経営者であり、フランチャイザーから提供された情報を精査する必要がありそうです。

そのため、フランチャイザーの情報提供が不十分と感じたから解約したので、競業禁止義務を守らなくて良いということにはなりません。

フランチャイズ契約はトラブル回避のために秘密保持義務や競業禁止義務について契約書に明記してある場合が多いため、事前に契約を確認しておく必要があるでしょう。

まとめ

フランチャイズでは、フランチャイズ契約解除後でも秘密保持義務や競業禁止義務が発生します。そのため、契約解除から数年間は同業他社での開業は厳しいと言えるでしょう。

フランチャイズ契約を解除する前にこういった条項をしっかりと確認し、対策を考えてから契約解除するよう注意しましょう。

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