フランチャイズのよくある質問その4 フランチャイズから起業はできるの?

2018.07.02

フランチャイズと個人での独立開業を比較したとき、フランチャイズはフランチャイザーのノウハウが利用できる分、起業の成功率が高いと言われています。そのため、初めて自分でお店を持たれる方はフランチャイズでの独立開業を選ぶことが多いでしょう。
ではフランチャイズで独立開業し、十分に営業や経営のノウハウを身に着けた後、個人での独立開業をすることはできるのでしょうか。

今回は、フランチャイズから起業はできるのかについて解説します。

【参考サイト】
JFAフランチャイズガイド(http://fc-g.jfa-fc.or.jp/
経済産業省「フランチャイズに関するトラブル等の現状」(http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g30318b03j.pdf

フランチャイズからの起業は難しい

結論から言って、フランチャイズからの起業は難しいと言えます。

これはフランチャイズオーナーの能力の問題ではなく、フランチャイズ契約による問題です。フランチャイズで契約したフランチャイズオーナーには、秘密保持義務と競業禁止義務が課せられます。これはフランチャイズ契約中と契約後の一定期間が対象です。

秘密保持義務と競業禁止義務については、以下に解説します。

秘密保持義務

秘密保持義務は、フランチャイザーの経営ノウハウなどの営業秘密を保護するために課せられる義務です。
秘密保持義務により、フランチャイズオーナーは営業秘密の使用目的や使用方法を制限され、第三者に漏えいさせることも禁止されます。

更に、フランチャイザーによっては取引先や従業員の間にも秘密保持契約を締結させる場合があり、その場合はフランチャイズオーナー以外にも秘密保持の義務があります。
フランチャイズ契約において秘密保持義務の対象となる情報は、不正競争防止法上の「営業秘密」と、フランチャイズオーナーの店舗経営や事業活動におけるフランチャイザーから提供された広範囲の情報です。

不正競争防止法とは、事業者間の不正競争の防止と不正競争に関わる損害賠償措置などの対策を行い、経済の健全な発展を目的とする法律です。不正競争防止法の「営業秘密」とは、秘密として管理されていること、経営上有用な情報であること、公然と知られていないことの3つの要件を満たす情報を指します。
従って、不正競争防止法の「営業秘密」だけであれば制限される情報は限られます。

しかしながら、フランチャイズ契約においてはフランチャイザーから提供された広範囲の情報が秘密保持義務の対象となります。基本的にフランチャイザーから得たノウハウや情報を第三者に伝えてはいけないと認識しておく必要があるでしょう。

競業禁止義務

競業禁止義務は、フランチャイザーの営業秘密の保護と顧客・商圏を確保するために課せられる義務です。
競業禁止義務により、フランチャイズオーナーはフランチャイズ契約で許可された範囲を超えて、フランチャイザーの事業と同種、または類似の事業を行うことを禁止されます。

仮にフランチャイズ契約上で競業禁止義務の規定がない場合でも、フランチャイズオーナーに競業禁止義務が課せられる可能性があり、平成20年9月17日の東京高等裁判所では「信義則上の競業禁止義務を負う余地」について認めています。

競業禁止義務と秘密保持義務に関して、営業秘密を保護するという点では目的が被ると考える方もいるのではないでしょうか。

秘密保持義務はフランチャイザーの営業秘密やノウハウの流出を防ぐための義務ですが、その内容や流用の有無、程度を正確に判断することは難しいとされています。フランチャイズオーナーが秘密保持義務を守らなかったとしても、フランチャイザーは違反行為を明確にすることが困難です。

競業禁止義務はフランチャイザーの情報開示後、競合事業という比較的判断のつきやすい指標を設けることで、これを行えば違反であると判断できるようにしたのです。そのため、フランチャイズ契約終了後のフランチャイザーとフランチャイズオーナーの間でトラブルが起きやすいのは競業禁止義務違反のことが多いと言われています。

フランチャイズ契約終了後の競業禁止の期間は一定期間とされています。競業禁止義務に関しては憲法第22条の営業の自由(職業選択の自由)との兼ね合いがあるため、現在では約2年から3年が適切な適用期間と言われています。
しかしながら、業種やフランチャイザーによって競業禁止期間は異なることが多いため、契約の際に確認が必要でしょう。

このように、フランチャイズ契約終了後も一定期間は秘密保持義務と競業禁止義務が課せられるため、同業での起業は難しいと言えるでしょう。

秘密保持義務と競業禁止義務を守らなかった場合はどうなるの?

では、フランチャイズ契約終了後すぐに同業での起業を行った場合どうなるのでしょうか。
ここでは、秘密保持義務や競業禁止義務に違反した場合どうなるかについてご紹介します。

秘密保持義務に違反した場合

秘密保持義務に違反した場合、フランチャイザーはフランチャイズオーナーに対して債務不履行や不法行為の責任を求めることができます。フランチャイザーは違反行為によってフランチャイザーに発生した損害の賠償請求が可能です。

また、営業秘密が開示されてしまっている場合は金銭での補いきれない可能性も十分に考えられるため、情報開示の行為自体の差し止め請求が認められる場合もあります。

競業禁止義務に違反した場合

競業禁止義務に違反した場合、フランチャイザーはフランチャイズオーナーが同業を行ったことでフランチャイザーが被る損害分の賠償請求をされる可能性があります。請求額に関しては、フランチャイズ契約での競業禁止義務の条項の有無によって異なります。

フランチャイズ契約に競業禁止義務の条項が記載されている場合、損賠賠償額についても記載されていることがあります。損賠賠償額が記載されている場合、その内容をベースに損害賠償額を請求されるでしょう。
しかし、その金額が不相応に高額である場合には損害賠償額が減額されることもありますので、契約書に記載があるからといって必ずその金額を支払わなければならないというわけではありません。

フランチャイズ契約に競業禁止義務の条項がない場合、フランチャイズ契約期間中の1か月分の平均ロイヤリティ金額が目安となります。フランチャイズオーナは平均ロイヤリティ金額に同業を行った期間を乗じた金額を支払うケースが多いようです。

また、賠償請求の他に同業での営業行為の差し止め請求がされることもあります。禁止期間は2年程度が多いですが、3年や5年の禁止期間を認めた裁判例もあります。

このように、秘密保持義務や競業禁止義務に違反した場合、フランチャイザーから賠償請求や営業差し止め請求をされることが多いようです。
フランチャイザーから独立した後での同業での起業はこういったリスクを持っており、困難であると言えるでしょう。

フランチャイズからの起業の前に確認すること

最後に、フランチャイズから独立して起業する前に、確認しておくことをまとめます。
これはフランチャイズ契約を締結する際にも役立つことですので、フランチャイズ契約前のフランチャイズオーナーの方も確認しておきましょう。

秘密保持義務と競業禁止義務はあるか

秘密保持義務と競業禁止義務はフランチャイズ契約中もフランチャイズ契約終了後も関わる条項です。特に競業禁止義務はフランチャイズ契約終了後のトラブルの原因になりやすいためしっかり確認してください。

確認するポイントとしては、禁止される業務の範囲、禁止される場所の範囲、禁止される期間の3つです。この範囲が過度にならない場合は裁判でも競業禁止義務が認められるため、チェックが必要でしょう。

違約金規定があるか

フランチャイズ契約を途中で打ち切る場合、中途解約の違約金を求められる可能性があります。この中途解約違約金が莫大な額となり、中途解約をあきらめるフランチャイズオーナーもいるようです。
中途解約を考えている方は、今一度確認してみてください。

このように、フランチャイズ契約の条項はフランチャイズ契約後にも大きな影響を及ぼします。契約書は必ず細かな部分まで確認し、疑問点はフランチャイザーに確認するようにしましょう。

まとめ

フランチャイズ契約には、その期間中も期間終了後も秘密保持義務と競業禁止義務が課せられます。そのため、フランチャイズオーナーがフランチャイズ契約終了後すぐに同業での起業を行うことは難しいでしょう。

こういった事態を防ぐためにも、フランチャイズ契約締結時には全ての条項について目を通し、分からないことがないようにしましょう。

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